第14章 真面目に聞いているの
「…華澄、今までありがとな」
「何よ急に。気持ち悪いわね」
何が、今までありがとう、だ。
まだ引退するわけでもないのに。
何?お前は今から死ぬのか?
「ハハッ、そうだな!ま、これからはお前の大好きな赤司様のために頑張りたまえ」
「なっ!もうやめてよ!」
修ちゃんは笑いながら私の頭をクシャクシャと撫でて、歩き出した。
「…修ちゃん。今まで主将、お疲れ様」
「あー?何か言ったかー?」
「ううん、なんでもないわ」
大きな背中を見つめながら小さく呟いたその言葉は、修ちゃんの耳には届いていなかったようだが、別にそれでもいい。
だって、それが私たちだから。
私は、私を置いていくように前を歩く従兄の背中を追いかけた。