第14章 真面目に聞いているの
私とさっちゃんが今のうちに洗濯でもしに行こうか、と体育館を出ようとしたとき。
「次にもう一つ連絡事項がある。赤司」
「はい」
監督に呼ばれ、征十郎が前に出る。
その様子に、私は立ち止まった。
「カスミン?」
え…?もしかして…。
そんな、もう一か月も前のことだから、きっと監督が反対して、終わったんだと思っていたのに。
「虹村は今までよくやってくれた。今日で主将を交代する。虹村に変わって、赤司征十郎を主将とする」
あぁ、世の中そんな都合のいいことなんてないわよね。
私がこれまで見てきたものが全てなのに。私は何を勘違いしていたのだろう。
「赤司君が、もう主将?」
さっちゃんも驚いたようにして言った。
さっちゃんだけではない。
皆も驚いたり戸惑いを隠しきれずにまたざわめき出した。
「三年生も思うところはあるだろうが、我が部の理念は知っているな?勝つための決定だ、認めろ」
監督は静かにそう告げた。