第14章 真面目に聞いているの
「…私は、逆だと思うわ」
「逆?」
征十郎は首を傾げて今度は彼が私に問いかける。
「黄瀬涼太。あいつの方がよっぽど害でしかないわ」
私がただ単に嫌いだから、というわけではない。
「祥ちゃんはなんだかんだでバスケが好きでしょう?だからこそ今までも退部せずに続けていた。だけど、あいつはどうかしら。バスケをただ自分を試す手段の一つとしか捉えていない」
私はテツ君たちと楽しそうに笑う黄瀬に目を鋭くした。
「…あいつはいつか必ず、私たちをかき乱す」
それを聞いた征十郎はフッと笑い、いつものように私に微笑みながら言った。
「だとしても、今チームに黄瀬の力が必要なのも事実だ。大丈夫、華澄の思っているようなことにはならないよう、俺が努力するよ」
「…それならいいんだけど」
休憩も終わり、征十郎は私の頭を撫でて、練習に戻って行った。
――― 征十郎、私はあなたの言葉を信じてもいいのよね…?