第14章 真面目に聞いているの
「ううん、黒子テツヤ君!きゃーっ!言っちゃった言っちゃった!」
顔を赤く染めてひとり照れるさっちゃんをよそに、当然の如くみっちゃんとあっちゃんは言葉を失う。
「…え?」
「っほら、この前ユニフォームもらった人!格好いいよね!」
「……」
「…え?格好いい?」
私は昨日も一昨日もその前も同じことを聞いていたので、窓の外を眺めながら耳を傾けた。
「うん!バスケ上手くて、格好いいよね!」
「…え、上手いかな?練習中、よく吐いてるよね?」
「でも、試合になるとキリッとして格好いいじゃない!ギャップ萌えって意味よくわかった」
「確かにギャップありだけど…。でも黒子君って何考えてるか、わからないし…」
「そこがいいんだよ!ミステリアスで!あっちゃんとみっちゃんの気持ち漸くわかったよ!もー、テツ君格好良すぎだよー!」
恋とは盲目、だとはよく言ったものである。
さっちゃんはもう止まらない。
「華澄ちゃん、この一か月でさつきちゃんに一体何が…」
あっちゃんは私の方を見ながら尋ねる。
「……私に聞かないで…」
散々聞かされてきた私は、疲れた顔をしてみっちゃんとさっちゃんに答えた。
「「さつきちゃんって、ちょっと変わってるかも」」
「ちょっとではないでしょ」
いまだひとり悶えるさっちゃんを見ながら、私たち三人は呟いた。