第14章 真面目に聞いているの
昼休み。
クラスの友達とお昼を取っていると、さっちゃんとみっちゃんが私たちのクラスを訪ねてきた。
これは別に珍しいことではなく、同学年のマネージャー四人で集まってお喋りすることは一年生の頃からよくある光景だ。
「誰が格好いいかって聞かれたら…やっぱり、あの人かな…!」
別の話をしていたはずが、またいつものように話題は恋バナになっていた。
さっちゃんはその途端に恋する乙女全開で話し出した。
「さつきちゃん、とうとう!?」
みっちゃんとあっちゃんは娘の成長を喜ぶかのように感動した顔でさっちゃんを見た。
一方、私はというと、さっちゃんのこの話はここ一か月近くもの間、散々聞かされていたので、「出た」と小さくため息をつきながら、机の上に広がるチョコレートを口に運んだ。
「さつきちゃん、その人誰?バスケ部の人?」
あっちゃんが問いかけると、さっちゃんはコクリ、と頷く。
「うん!最近、一軍に上がってきた人!」
…それは最近さっちゃんが一軍であることを認めた人、の間違いでは?
「…まさか黄瀬君!?」
「それはライバル多すぎ…」
「…あんな奴をさっちゃんが好きになるわけないでしょ」
私たちが口々に言っていると、さっちゃんは一呼吸おいて口を開いた。