第13章 覚悟してね?
珍しく大ちゃんを褒める征十郎に、真ちゃんは眼鏡をクイッとあげながら言う。
「今回、お前は何位だったのだよ」
真ちゃんは、テストの度に征十郎に勝とうと、様々なアプローチをしている。
それが今回は何か聞くと、「さっちゃんのノート」だったという。
鋭い目つきで真ちゃんは征十郎に問いかけるが、征十郎はただ微笑むだけで答えはしなかった。
そして、その翌日。
掲示板に上位30名の名前と総合点が張り出された。
「せ、征十郎…また満点だったの…?」
「ああ」
「くっ、また負けたのだよ」
真ちゃんは悔しそうに言うが、私はそれどころではない。
中学に入学して以来、征十郎の成績は常に一位、というより、満点しかない。
「一体、どんな頭してるのよ…」
あの馬鹿二人の脳みそがどうなっているのか、ということをつい先日まで考えていたが、今はこの隣に立つ彼の脳みそこそ、どうなっているのだ、と考えた。
私がそんなことを考えているなんて知るはずもない征十郎は、ただ私に微笑んだ。