第13章 覚悟してね?
「…ずっと聞きたかったんだけどー」
「?」
「藍ちんはさー。赤ちんのこと好きなわけ?」
「へっ?!」
先程までとは異なり、私の方を見ずにあっくんは私に尋ねる。
「…やっぱ、好きなんだ」
「ど、どうしてそんなこと思うの?」
修ちゃんには話したから仕方ないとしても、まだ他の人にはバレていないと思っていた上に、まさかあっくんにバレるとは夢にも思わなかった私は、柄にもなく言葉が詰まるし、背中には変な汗までかいていた。
「だって、俺。藍ちんのこと見てるから」
ん?見てるって…そりゃ誰でも私のことは見えてるでしょ。
テツ君じゃあるまいし。
私がよくわからない、という顔をしていると、あっくんは私を横目で見下ろしながらため息をついた。
「藍ちんって鈍いっていうか、馬鹿だよねー」
「なっ」
最近よく周囲から「馬鹿」と言われる。
何度も言うが、私は決して馬鹿ではない。
あっくんはそんな私を見て「もーいいやー」と言った。
そうこうしている内にテツ君の家に到着し、その日のマンツーマン勉強会は夕方の六時まで続いた。