第13章 覚悟してね?
「ほら、言わんこっちゃない」
なんと両手が塞がっていたはずのあっくんが、大事な大事なお菓子の入った袋を放って、私を抱き留めてくれたのだ。
「あっくん、お菓子が…」
「お菓子より藍ちんの方が大事に決まってんじゃん」
そ、そうなんだ…。
てっきりあっくんの一番大事なものは家族や友達といった類ではなく、お菓子だと思っていた私は驚いた表情を見せる。
「何その顔…。俺のこと何だと思ってんだし」
「意外だったから…。それよりもう大丈夫だから離して?重いでしょ?」
「別にー?藍ちん重くねーし。どっちかってっと、わたあめみたいに軽いしー。何つーか…」
「?」
するとあっくんは顔を少し赤くして私を見て言った。
「ふわふわしてて、天使みたい」
「て、て、天使?」
そんなこと初めて言われた。
どこをどう見たらこの私が天使に見えるのだろうか。
あ、そうか。
あっくんは頭のネジが緩いからそう見えただけなんだ。
そういうことにしよう。
あっくんは私を離し、落ちたお菓子たちを拾い上げ、また歩き出す。