第13章 覚悟してね?
このお馬鹿さんにお手上げ状態の私は、文章だけでも難なく読めるように、なんとか漢字の読みだけでも…と教えるが、それを大ちゃんが本当に理解したのかどうかは知らない。
「次は古文を読もうと思うんだけど…」
「パス」
「……」
「もう誰か代わろーぜー」
現代語の中でも優しい言葉で綴られる小説問題だけでここまで手を焼いたのだ。
古文を読むなんて不可能ではないか、と思ったが、念のためにと教科書の古文のページを開いたところで大ちゃんは拒絶。
正直、私ももうこれ以上大ちゃんに教えるのは無理だ。
ということで選手交代。
「よろしくッス!」
出た、馬鹿二号。
「国語と社会、どっちがいいの?」
「んー。俺、漢字は読めるんで、社会で!」
漢字が読めるというだけで国語は出来る、と思い込むこいつの脳みそは一体どうなっているんだ。
私は、仕方なく社会の教科書を取り出した。
「テスト範囲は歴史だけど…。どこが分からないの?」
「勿論、全部ッス!」
「……」
黄瀬曰く、今回の範囲の平安時代は『藤原さん』がやけに多くて混乱するらしいが、私にとってはこいつが何を言いたいのかすら意味が分からない。
「…そのわからない『藤原さん』を時系列で並べて覚えましょう」
「了解ッス」
意気込んで始めた黄瀬だが、それも三分で撃沈した。