第13章 覚悟してね?
それぞれがペアと向かい合って座る。
「理解するまで帰れると思うな、青峰」
「俺は人事を尽くすだけなのだよ、黄瀬」
「覚悟してね?さっちゃん」
「わかんないとか言ったらヒネリつぶすよー?黒ちん」
上位四名によるマンツーマン勉強会が開始した。
大ちゃんと黄瀬は心底嫌そうな顔をしながらも、この二人から逃れることはできずに渋々問題集を解く。
「なっ、何故そうなるのだよ!」
「違うんスか?」
「全く違うのだよ!」
早速、私とさっちゃんペアの隣に座る、真ちゃんと黄瀬ペアが躓きだした。
更に、真ちゃん黄瀬ペアの隣りに座る、征十郎と大ちゃんペアも案の定躓きだす。
「青峰。真面目にやっているのか」
「あ゛あ?こんなんわかるわけねーだろ」
一方で、私とさっちゃんペアはというと。
「カスミン、ここなんだけど…」
「ここは、この公式を使って、ここをこうすると…」
「あ!わかった!」
私は勉強を教えるのは初めてだが、元々部活の際に情報分析をさっちゃんに教えたことがあったため、その延長線だと思えば、なんてことはない。
更にさっちゃんは、下位二名に比べたら頭はいい方なので、こちらが苦労することはない。
「黒ちーん。ここ違うよ」
「では、こうですか?」
「ピンポーン」
あっくんとテツ君ペアも何の問題もないようだ。
ただ…。
「紫原君。僕のノートにお菓子の屑を落とすのはやめてください」
「あらー?ごめーん」
あっくんが止まることなくお菓子を食べ続けるので、それだけがテツ君にとっての不満でもあるように見えた。
「さつき、代われ」
朝会った時よりも確実にげっそりした大ちゃんが、こちらを見て言う。
「青峰、まだ一問しか解けていないじゃないか」
「だーっっ!俺はさつきのノートのコピーがあるから赤点だけは取らねーんだし、もういいだろ!?」
「全く良くない」
(スパルタ)マンツーマン勉強会は続く。