第12章 馬鹿とは何よ
「これは何よ」
「俺に抱きしめられて動悸はするか?」
「しないわよ。どちらかと言えばお兄ちゃんにあやされてる気分だわ」
「だろうな。俺も妹をあやしてる気分だ」
そりゃそうでしょ。
なんて思っていると、修ちゃんは私を離して、また話し始めた。
「じゃあ、紫原はどうだ?あいつにもいつも抱き付かれてんだろ」
「あっくんは…私があやしてる感じかしら」
それを聞いた修ちゃんは、あいつも可哀想だな、と小さく呟いたが、私には修ちゃんの言うあいつが誰のことなのか、また、それがどういう意味なのかもわからなかった。
「まあ、つまりそういうことだろ」
「そういうことって何よ」
訝し気に修ちゃんを見ると、修ちゃんは呆れたような哀れなものを見るかのような視線を私に送った。
「だから、お前は赤司が好きってことだろ。恋愛的に」
「……」