第12章 馬鹿とは何よ
「あ、真ちゃん」
「何なのだよ。今日はきちんと大きめのラッキーアイテムを持っているのだよ」
「緑間、お前よく貸してもらえたな」
「いや、そうじゃないわよ…」
そう言った真ちゃんの手の上には大きなまな板。
宿泊先のホテルで借りてきたらしい。
真ちゃんは昨日シュートが少し上手くいかなかったのは、昨日のラッキーアイテムの『消しゴム』の大きさが小さかったためだとしていた。
そのため、自分で持ってきたまな板では今日もまた上手くいかないと思ったらしく、大きなまな板をホテルの調理場から強引に借りてきたのだ。
「昨日上手くいかなかったのは、指の調子が悪いんじゃないか、って思ったのだけど」
「ふん、馬鹿め。俺は日頃指はテーピングで保護している。調子が悪くなるなんてありえないのだよ」
「だから、そのテーピングが問題なのよ」
「なんだと…!?」
真ちゃんはもの凄く驚いた顔でこちらを見る。
と、同時に大ちゃんのテーピングも終わった。
「確かに真ちゃんは毎日テーピングで指を保護してるから、指の骨格自体は問題ないわ」
「ならば何故なのだよ」
「見せて」
そう言って私は真ちゃんの手を見た。
「やっぱり。少しテーピング負けしてるわ。ここ最近強く巻きすぎたのね。完全に皮膚が負ける前にハンドクリームでも塗ってケアしなきゃ。あと、テーピングも強く巻きすぎないことね」
「相変わらず凄ぇな、華澄は」
その様子を見て大ちゃんは笑いながら言う。
私に指摘された真ちゃんも納得したような表情で私を見た。