第12章 馬鹿とは何よ
「…あのね、その…。カスミンは恋、とか、したことある…?」
「…は?」
私は柄にもなく、目をぱちくりとさせた。
「え…?こ、恋…?」
「うん」
彼女と出会って一年以上になるが、お互いそんな話には興味がなく、こういった話を真剣に二人でしたことがこれまでしたことがなく、私は戸惑った。
「ないわね…」
「そっか…」
さっちゃんはさらに俯いてしまった。
「えーっと、何?さっちゃんは誰かに恋をしちゃった、てことでいいのかしら?」
私が問いかけると、さっちゃんは顔をさらに赤くさせ、その顔を恥ずかしそうに両手で覆い、「わかんない」と小さく呟いた。
「わかんないって、さっちゃんがわからないのなら、私は余計わからないわよ」
「そうだよね…」
恥ずかしそうにするさっちゃんを横目に、私は、ふーん。あのさっちゃんがねぇ、なんて考えていた。
「ちなみに、そのまだ恋かどうかわからなくて悩んでるお相手は誰なの?」
この一年間、恋愛の音沙汰もなかった彼女のハートを射止めた男子は誰なのか。
純粋に気になった。