第12章 馬鹿とは何よ
「修ちゃんを祥ちゃんの代わりに入れることも勿論いいと思うんですが、葉山のマークを大ちゃんにして、SFには黄瀬とテツ君を交代で入れる、というのはどうでしょうか」
「なるほど…」
「確かに、それもアリだな」
征十郎と修ちゃんは、私の意見に賛同するように考える。
「だが、黒子は別にしても黄瀬を実戦に出すのはまだ早いんじゃないか?」
コーチは言う。
すると、私に代わって征十郎が答えた。
「華澄が言うには、黄瀬は他人の動きを一度で模倣することができます。折角の練習試合ですし、これを機に沢山の動きを間近で見せるのも悪いくないと思います」
「…ふむ。お前がそういうのであればそうしよう。だが、前半は虹村が出て点差を稼げ。後半で黄瀬と黒子に出てもらう」
「はい」
話し合いが終わったところで、私たちはベンチに着いた。
コーチがスタメンの変更と私たちの出したデータを皆に話している間に、私とさっちゃんはドリンクとタオルをベンチの隅に準備する。
「…カスミンがきーちゃんを推すなんてビックリしたなー」
さっちゃんが嬉しそうに私に言った。
「あいつのことは嫌いよ。でもこれがチームにとって最善だと思ったから言ったまでのこと」
「フフッ、カスミン本当にこのチームが大好きだよね」
「それはお互い様じゃないかしら?」
「そうだね」
私とさっちゃんは顔を見合わせて笑いあう。
その試合はコーチたちと話した通り、葉山小太郎のマークは大ちゃんで、前半は修ちゃんが出て、沢山の点差を稼いだ。後半では黄瀬とテツ君が交代で出、難なくその試合を勝利で収めた。