第11章 認めてないの?
「そ、そう言えば!」
私はいたたまれなくなって話題を替えようと珍しく声をあげた。
二人も少し驚いた顔をして私を見る。
…えーっと、えーっと。話題…。
「テ、テツ君が!昼休みに征十郎を探してたけど会えたの?」
ば、馬鹿ぁ!!これまた黄瀬の話題じゃない!!
真ちゃんは、そうだったな、と言って征十郎を見た。
確かテツ君の話によると、私のところへ来る前に真ちゃんのとこにいたんだっけ。
「ああ、会えたよ」
征十郎はそう答えると、少し何か考えるように黙り込んだ。
「どうした?」
真ちゃんが尋ねる。
「いや、昼休みのことを思い出していたんだ。…彼はどうするのだろうな」
「どうするって…何が?」
征十郎が何を考えているのか全く分からない。
私は首を傾げ、彼の答えを待った。
と、その時、強い風が吹いた。
私はポケットから手を出し、舞い上がるスカートを左手で、髪を右手で抑えた。真ちゃんも目を細めながら手をかざした。
「友情に浸るのもいいが、我が部の理念がそれと反した時、彼はどうするのだろうと思ったんだ」
冷たく呟いた征十郎の言葉は風の音に遮られ、私たちの耳には届いていなかった。