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青春あやまち論 【黒子のバスケ】

第11章 認めてないの?



「征十郎?征十郎なら生徒会室に行ったわよ」


さっちゃんの教室へ向かう途中、征十郎を探しているというテツ君とおまけの大ちゃんに会った。


「っんだよ…。あいつ一体何モンだよ」


目の前にいない相手に向かって悪態をつく大ちゃんに私は首を傾げる。

おそらく、ここへ来るまでにも征十郎の足取りを追っては追いつかない、ということが何度も起きているのだろう、と察した。


「何?征十郎がどうかしたの?」

「実は…」


私が尋ねると、テツ君はかくかくしかじか、とこれまでの経緯を話してくれた。

なんでも、征十郎が朝練の終了後にテツ君に『聞きたいことがある』と言ったことが気になって只今捜索中らしい。

テツ君の隣に立つ大ちゃんはこれまでにテツ君が同じ説明を何度もしてきたのか、もうそれは聞き飽きたとでも言わんばかりにうんざりした顔をしていた。


「…確かに。征十郎が『話がある』ならわかるけど、『聞きたいことがある』なんて」


珍しい。


「テツ君。はやく行った方がいいわ。あいつ多忙すぎてすぐ移動しちゃうから」

「はい、そうします。ありがとうございました」


テツ君は私に一礼して、大ちゃんと一緒に生徒会室の方向へ向かって歩いて行った。


「…って言っても多分あの事だとは思うんだけどね」


テツ君と大ちゃんの後姿を見て私は小さく呟いた。

あの事、とは黄瀬のことだ。

征十郎のことだから昨日試した結果が知りたいだけのことなんだろう。

私は二人が角を曲がったところまで見て、さっちゃんの教室の方へ歩き始めた。

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