第10章 あくまで反対だからね
「お先にー」
「あっくん、お疲れ」
私たちの会話にも大ちゃんたちの言い合いにも興味がないのか、あっくんはダルそうにして帰っていった。
「口で説明してもあの調子ではまず納得しないだろうね」
「教育係を替えるか?」
征十郎の言葉に真ちゃんが尋ねた。
「いや…いい。何か手を考えよう。それより主将は?」
そう言えば今日は練習終了後見かけていない。
いつもなら自主練を始めたりするのだが、珍しい。
「何かコーチに話があるそうなのだよ」
「え?」
「…そうか」
征十郎はそうとしか言わなかったが、私は体が固まってしまった。
間違いなく、あの事を言うつもりだ。
「藍川!?」
真ちゃんが呼んだのが聞こえたが、私は、コーチのいるであろう職員室へと走り出した。