第10章 あくまで反対だからね
「真似、というよりは模倣ってとこかしら。とりあえず技術面は問題なさそうだし、体力面を重視しないとね」
そう言って、私は簡単な体力アップメニューを作った。
それをさっちゃんは感心したように覗き込む。
「やっぱりカスミンには敵わないな」
「何言ってるの。さっちゃんも私以上に情報収集できるようになったくせに」
そうこうしている内に今日の練習は終わった。
私とさっちゃんが片づけをしていると、テツ君と奴の会話が聞こえてくる。
「黄瀬君、片づけなんですが用具室は…」
「うわっっ。いやちょっといいッスか、その前に。教育係違う人にしてほしいッス」
「え」
出た。これは絶対見下してるな。
「言ったろ、言うこと聞けって」
「あいたっ」
大ちゃんは呆れたように奴の頭にボールを投げつける。
そして二人はそのまま言い合いになった。さらに奴はテツ君を「ショボイ奴」とか言い出す始末。
「うわー。ま、黒子君だから仕方ないけど…」
隣で片づけをしていたさっちゃんまでこう言い出した。
これは先が思いやられる、と私が一つため息をついた時だった。
「大体、片づけなんてマネージャーにでもやらせればいいじゃないッスか」
その言葉に私もさっちゃんも一瞬動きが止まる。