第10章 あくまで反対だからね
確かに上手い。
初心者なんて全く思えないほどに。
ただ、やはりまだ練習についていくほどの体力はないのか、息の上がり具合が気になるくらいだった。
「やっぱカスミンから見てもそう感じるんだね」
さっちゃんとそんな会話をした後の部活終了後。
修ちゃんから彼が一軍昇格が決まったと聞いた。
「でも上手い、と言ってもまだ始めて二週間の人でしょう?」
「そうだな。少々心配なのだよ」
私は征十郎、真ちゃんと一緒に帰宅の途にあった。
話題は勿論、噂の黄瀬涼太。
「主将とも相談したんだが、彼には教育係をつけようと思う」
修ちゃんはまだコーチや監督には話していないのか主将のままだ。
このまま気持ちが変わって主将でいてくれればいいのに、なんて思っていたりもする。
「教育係?」
「ああ。華澄の言う通り、上手いと言ってもまだ始めて二週間の初心者だ。バスケのことも部のこともわからない事ばかりだろう、と」
真ちゃんの問いに征十郎は答えた。