第10章 あくまで反対だからね
もうどちらが正しいのかわからなかった。
ここで修ちゃんを止めてしまえば修ちゃんが苦しんでしまう。
逆に止めなければ今度は征十郎の重圧に変わってしまう。
「それでも、もう決めたんで、しょう?」
「ああ」
一度こうなってしまえば、もう私が何を言おうと、修ちゃんの気持ちは変わらない。
「…わかった。だけど、」
私は強めの口調で言った。
「私はあくまで反対だからね」
私がそう言えば、修ちゃんは困ったように笑って見せた。
「何でお前が泣くんだよ」
「泣いてなんか…っ」
私が修ちゃんを支えられるように、と決めたばかりなのに私は何もできなかった。
征十郎にも負担をかけてしまうことになった。
なんて私は無力なんだろう、と思い知った。