【恋の乱】才蔵さんと過ごす四季【章により裏R18あり】
第5章 夏〜甘い時〜前半
あやねの世話が楽しい。俺にこんな気持ちがあったなんて、と自分でも驚く。
いつもはあやねに世話をされる側だが、人の世話を焼くのもいいものだなと思っていた。
まあでも、たまにだからなんだろうけど。
毎日は絶対無理。
あ、あやねが目を覚ました。
気だるい感じのあやねを見てるのもいいなと思う。
俺を探して視線を漂わせているのか?
俺は枕元に寄って顔を覗く。
「どう?」
「はい。お陰様でだいぶ痛みが治まったような。」
「うん、良かった。じゃこのまま寝てな。」
トロンとした目をしてるな。
眠いんだな。かわいい。
また壁際に戻ろうとすると、あやねが俺の着物を掴む。
「何?」
「そばにいてくれませんか。」
「うん、俺は今夜はこの部屋で一緒にいるよ。」
「…手を…」
「ん?」
「…手をつないでてもらえませんか。」
「ふふ。…いいよ。」
俺はあやねの右手を取ると両手で包む。