【恋の乱】才蔵さんと過ごす四季【章により裏R18あり】
第5章 夏〜甘い時〜前半
また少しウトウトしていたようだ。
ふと目を開けて部屋を見渡すと、すぐそばに才蔵さんがいた。
ずっとそばにいてくれてたのかな…。
柱にもたれて何か本を読んでいるみたい。
「起きた?」
本を閉じながらこちらを見る。
「はい…」
「足は?」
「はい…、まだ少し痛む…かも…?」
「薬変えよっか」
「え…?」
替えの薬を手に私の足の方に才蔵さんがよってくる。
足のところだけ布団をめくられる。
なぜだろう、少し恥ずかしい。
才蔵さんは私の足を膝に乗せ、包帯を解かれる。
「まだ腫れてるね。熱も持ってる。」
そう言って新しい湿布薬と取り替え、また包帯を手際よく綺麗に巻いてくれる。
(あ、冷たくて気持ちいい…)
思わず目をつむってしまう。
「はい、終わり」
今度は枕元に来てくれる。
「いい?このまま大人しくして寝てるんだよ」
私の頭を撫でながら言い聞かせるように言われる。
なんだろ、このものすごく優しい才蔵さん…。
「はい」
私は素直に返事をした。
「いいお返事だね」
そう言ってまた笑みを返される。
もう、才蔵さんたら、その笑顔は卑怯。
私は赤くなる顔を隠すために布団を引き上げた。