【恋の乱】才蔵さんと過ごす四季【章により裏R18あり】
第5章 夏〜甘い時〜前半
当然、昼餉の片付けも才蔵さんがしてくれた。
そして食後のお茶も入れてもらった。
「…美味しい…」
(本当に上忍ってなんでもできるんだな。
なんだか…私がいつも才蔵さんに入れてるお茶より、美味しい気がする。)
「美味しい?よかった」
「私が淹れるお茶より美味しいような。
何が違うんですか?」
「何も変わらないよ。
しいて言えば淹れる人の愛情の込め方かな。」
「もう!ふざけてますね。真面目に聞いたのに。」
「ふふ…」
そういってまた微笑む。
珍しい。今日は何度才蔵さんの笑顔を見ただろう。
その度に鼓動が早まり心臓に悪い気がする。
「お茶飲んだら寝てな。
お前さんの濡れた着物干してくるから。」
「すみません。ありがとうございます。」
褥に横になる私に掛け布団をかけてくれる。
本当に至れり尽くせりだなあ。
でもとても嬉しいかも。
こんなに誰かに手厚くお世話をしてもらったのって、小さい頃に病気で母に看病してもらった時以来かも。
こんなことはもう無いと思われるし、才蔵さんもご機嫌みたいだし。
せっかくだからお言葉に甘えちゃおう、と決めた。