【恋の乱】才蔵さんと過ごす四季【章により裏R18あり】
第5章 夏〜甘い時〜前半
俺は先に馬から降り、あやねを馬から降ろしそのまま横抱きにした。
そして庭石に座らせる。
「ちょっとここで待ってて」
俺は屋根に上がり、隠し扉の鍵を開け中に入った。
そして、内側からかけていた一階の入り口の鍵をはずし、戸を開ける。
「すごい、そうなってるんですか…」
あやねが目を丸くしている。
「まあね、少し忍者屋敷風かもね。」
俺はあやねを抱き上げ部屋に運んだ。
「今日はこのまま休んでな。
無理に動くと捻挫が悪化するから。」
「でも、お食事の支度とか…」
「そんなの俺がやるから。
もともとここは俺がいつも一人で使ってる家だし。」
「…」
困ったような顔をするあやねの額に拳をコツンと当てる。
「ほら、これ以上俺に逆らわないこと。
捻挫が悪化して長引けば、更に俺に面倒かけることになるでしょ?」
「はい…じゃあお言葉に甘えさせていただきます…」
あやねが不承不承にうなづく。
「そ、素直が一番」
そう言って才蔵さんは、手際よく患部に湿布薬を塗り包帯を巻いてくれた。
また、着替えも出してくれた。
「濡れた着物は後で干すから。
俺の寝間着で大きいかもしれないけど。
これに着替えな。」
「ありがとうございます…」
本当に気がきくなあ。
すごい。