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【恋の乱】才蔵さんと過ごす四季【章により裏R18あり】

第4章 秋【裏R18】〜月光〜


嫌だ、絶対顔が真っ赤だ。
久しぶりに才蔵さんのことを思い出し、頭から顔が離れなくなってしまった。
そうか、もうここに来て20日くらい経ってるかな。
才蔵さんの任務はまだ続いてるんだろうか。

自分の部屋に帰る廊下で、綺麗な月が出ているのにふと気づく。
柱にもたれてその月に見入る。
(才蔵さんもこの月を見てるのかな。
辛くなるから思い出さないようにしてたけど。
逢いたいな。)

そう思ってため息を一つ漏らした時だった。

「誰がつかみどころがないのさ」

(……!!この声!)

後ろから声をかけられた。
急いで振り向くと、そこには微笑みながら柱にもたれかかっているいる才蔵さんがいた。

「才蔵さん!どうして!」
「話はあと、お前さんの部屋に案内してよ。」
そう言われ、すっと横抱きにされる。
「さ、才蔵さん!」
「俺が歩く方が早くて足音しないから。」
「それはそうですけど…。
あの、この廊下をまっすぐ行って、渡り廊下を渡って…」
私は部屋までの道順を説明した。
才蔵さんは素早い動きであっという間に部屋に戻ることができた。

襖を閉め、部屋に灯をともす。
才蔵さんの顔が灯に照らされている。
ああ、懐かしい、逢いたかった人だ。
もしかしたら、とは思っていたけど。
まさか本当に忍び込んで来てくれるなんて。

「才蔵さんもお元気そうで、よかったです。」
「ん、まあね。今回の任務は少し長引いたけど、そこまで重くなかったから。」
「私、とても逢いたかったです…」
そう言って私は才蔵さんに近寄り胸に頭をもたれかけた。

才蔵さんは優しく私を抱きしめてくれる。
そして顎を取られ顔を上に向けられ、優しく唇を重ねられた。
水音を立てるように何度も唇を軽く吸われる。
まるで私の唇を確かめるような、とても優しい口付けだった。

そう、この顔を見て、この温もりに触れたかった。
ほんの2カ月離れただけでも辛いんだ。
俺はあやねを抱きしめたあと、顎を取り唇を重ねる。
あやねの唇の感触を楽しむように何度も何度も音を立てて口を吸う。
ああ、あやねの唇の感触は変わっていない。
柔らかく温かく、甘い。
本当は毎日でも味わいたいくらいだ。
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