【恋の乱】才蔵さんと過ごす四季【章により裏R18あり】
第4章 秋【裏R18】〜月光〜
久しぶりに長い任務が開け上田城に帰ってきた。
でもあやねの姿は無かった。
たまたま外出しているのかと思ったがそうではないらしい。
一ヶ月くらい前に京の今出川家に派遣されたとか。
へえ?そんなことがあるんだ。
「今出川様があやねの菓子をとても気に入られてな。
先方のたっての希望であやねをお貸しすることになったんだ。」
「ふーん、どれくらい?」
「2ヶ月限定ってことにはなってるけどな。
まあ、のんびりした京の公家だしな。
いつ帰ってくるかは不明だよな。
まあでもあやねを手放したわけじゃないから。」
「…」
「お前も里の任務でよく数ヶ月くらい平気でいなくなるだろ。
いわばこれはあやねの任務かな、って思ってるよ。」
「…」
明らかに不機嫌になる俺。
あやねの顔が見られない、あやねに触れられない、あやねの団子が食べられない、それを思うとかなりイラっとした。
「お前なら今出川様の屋敷に忍び込んで様子を見るくらい容易いだろ。」
「まあね、でも…」
「里の任務がないなら様子見に行ってこいよ。
ここもしばらくは大きな動きはないから。」
「…」
「京はあやねの地元だしな。
屋敷に出入りする色男にあやねが目をつけられるってのもあるかもな。」
「女を知らない幸村に言われたくない。」
「なっ!!」
そして俺は幸村の前から姿を消した。
「あやねを心配するなんて、やっぱり才蔵も人の子なのかな?」
幸村は面白そうに微笑んだ。