第1章 憧れ *Ruki
「おい!隣星!
その書類、まとめておいてくれ」
「はい!」
私はクラスの学級委員を務めている
ここの担任は人使いが荒く、面倒な事は殆ど誰かに押し付ける
でも、私はそれを断ることは出来ない
そんな事を考えながら
私は書類を片づける
放課後で教室には誰もいなかった
ガラッ
そこに誰かが入ってくる
扉の方を向くと...
「あ...」
「ここにも居ないか」
なんで....ここに....
入ってきたのは、ルキさんだった
こころの準備も何も出来ていなかった私は
思わずまた固まってしまう
そんな私を知らず....彼は
「すまない。小森ユイはどこへ行ったか分かるか?」
小森ユイ....彼女は私と同じクラスだ。
しかし、何故彼が....?
少し間が空いて、私はハッと返答する
「多分、図書館に居ると思いますよ。
彼女、よくあそこで本を読んでるから」
頑張って平然と返す
そんな私を見て、彼はふむふむと何かを考えていた
「あの...」
「あぁ。すまない。助かった」
彼にお礼を言われて私は少し顔が紅くなるのが分かった
そして、寂しくもなった。
これが初めての会話なのに、もう終わってしまうのか....
少し、しゅんとしてしまう
だが...
「ところで、お前
そこの文間違えてるぞ」
彼は私の机の上の用紙を指さす
思わぬ言葉に私は驚く
そして、用紙を見て
「あっ....本当だ。ありがとうございます」
私はその欄を書き直す
「というか、それは教師の仕事だろう
何故、お前が?」
「先生に頼まれて...」
「そんなもの、断ればいいだろう」
それはただの押し付けだと彼は言いたそうだった
「けど、ここに私が居られるのは先生のおかげだから...」
初対面の相手に何話してるんだと思い
少し後悔した
「あ、ごめんなさい
こんな事...」
ルキは何か私に言いたそうな顔をしていたが、彼は1つ軽く深呼吸をして
「名前を教えてくれないか?」
目の前のずっと好きだった彼に名前を聞かれ、私は少なからず動揺した
「隣星 らんです」
「らんか...いい名前だな
俺は無神ルキだ」
彼に名前を褒められ自己紹介をされ
私の心はいっぱいだった
「お前の事...覚えておこう」
そう言って、彼はその場から去った