第3章 3話
黄瀬は黒子から遠ざかると部屋の奥へと入って行く。
「黄瀬くん、赤司くんがまた勝手に外を彷徨いたなって言ってましたし君また道具を使用しなかったのバレバレですからね。」
背後で黒子の声を聞き背中を流れる汗と腕にある切り傷に痛みを感じながら部屋へ急いだ。
「全く、あれほど辞めろと言ったのに聞く耳を持たない。」
黄瀬が走って行った後、取り残された水色の髪を持つ彼は今まで水色だったその髪が徐々に赤みを帯び、真っ赤に変わった。
「君も大概ですけどね。」
その声は隣の部屋からだった。
「まぁ、実験は成功の様だよ黒子。」
「君の事ですから、結果ぐらいわかっていましたが良かったです。」
「俺とはいえいつも成功というわけでもないさ。本当に良かったよ、これは次に行かせそうだな。」
「…そうですね。…また…忙しくなりますね。」
赤い髪を持った少年は身につけている黒いマントの中を軽く探り小さな手紙を取り出した。
手に持っている髪とは反対の手で指を鳴らすと奥の方から赤色の手入れされて綺麗な羽を持った梟が飛んできて、彼の腕に乗った。
「これを、緑間の所まで頼む。」
少年の言葉に反応をしないかと思われた梟は一度瞬きをすると乗っていた肩と反対側の手に持ってある手紙を掴みいつの間にか開け放たれていた扉から出て行った。