第3章 3話
少年は少女を抱えたまま門をくぐり抜け、屋敷の中へ入った。
「黄瀬くん、おかえりなさい。また赤司くんに色々言われますね。」
突然入った屋敷の中から声がし、黄瀬と呼ばれた彼は目の前に現れた水色の髪を持つ無表情の少年が立っていたことに驚き、少女を落としそうになった。
「黒子っち毎回それやめてくんないっスかー。…もう、落としかけたじゃないスか!」
「黄瀬くんがまだまだ修行が足りないということです。」
「いや、ていうかそれ半分は黒子っちの魔法でしょ?そんなん誰もわからないっすよ。」
「……それは置いといて、彼女を見せてください。」
「え、あれ無視!?」
黒子は黄瀬を無視し、視線を黄瀬の腕の中にある少女に移した。
「すごい出血の痕ですね。とはいえ傷口が塞がっているのでしょうか、血は固まってますし止血の必要もないようですね。首の血の塊は軽くタオルで拭いてあげましょうかね。」
「それ、俺がやるっす。あと、この子は俺が面倒見るから赤司っちには何も言わないで欲しいんスよ。」
「わかりました。けど、この屋敷の管理人かつ資金の支援その他もろもろ僕らの生活が成り立っているのは赤司くんあってこそです。これから彼女も彼の厄介になるのなら一言告げるべきだとは思いますよ。」
そういうと優しい顔で微笑み少女の茶色く手入れされて絹のような髪を梳いた。
黄瀬はその表情を見て口をへの字にして黒子を見た。
「そんな目で僕を見ないでください。この子が見たら引かれますよ。」