Love Story~たくさんの 恋物語~【黒子のバスケ】
第1章 The signs of LOVE 【実渕 玲央】
着替えて部室に戻ると、中から優奈と他の部員の話し声が聞こえてきたわ。
「なぁ、櫻井。お前の耳にも入っているのか?お前の彼氏がさ、他の女と一緒に帰ったりしてるって」
『え?』
アタシは一瞬耳を疑ったわ。
噂は聞いていたけど、まさかここまで広がっていたとは・・・。
「うん、知ってる。みんな心配してくれて、いろいろと教えてくれたから・・・」
そう答える優奈の声。
ヤダ、今の優奈にそんな話をしないで。
そう思ってはいるものの、なかなか部室に入れないでいる。
「お前、それでいいのか?」「そうだよ!」
なんて部員たちの声が聞こえてきた。
みんな、本当に優奈の事を心配しているようね。
優奈は、バスケ部のみんなにとって大切な存在ですもの。
美人だけど、気取っていなくて、よく気が利く。
マネージャーの仕事も完璧だから、征ちゃんでさえ優奈には一目置いているものね。
さあ、早く優奈の話を聞いてあげなくちゃ。
そう思ったアタシは、部室のドアを開けて中に入って行く。
ガチャッ
ドアを開けると
「あっ、玲央!!」
振り向いてアタシにそう言った優奈は、やっぱり悲しそうな顔をしていたわ。
「優奈、お待たせ。さあ帰りましょ?今日は前に話していた雑貨屋に寄るんでしょう?」
まわりは、アタシと優奈が仲が良くて、よく一緒に出掛けるのを知っているから、今日のお誘いもいつものことと思って「気を付けてな~」なんて言っている。
「みんな!ありがとね!また明日!!」
優奈はみんなに笑顔でそう言った。
「また明日な!」「元気出せよ!」
部員達も優奈にそう答えていた。
この子は本当に、どれだけみんなに愛されているのかしら。当の本人は気づいていないようだけど。