Love Story~たくさんの 恋物語~【黒子のバスケ】
第1章 The signs of LOVE 【実渕 玲央】
部活中、優奈はいつも通り笑顔でみんなと話していたわ。
「良かった・・・」
そう思う反面「その笑顔は、アタシだけに見せて欲しい」なんて思ったりしてしまう。
ダメダメ、独り占めなんてしたらきっとバチが当たるわね。
そんな気持ちで優奈を見ていたら、征ちゃんに
「玲央、どうしたんだい?いつもと違うようだが?」
なんて言われてしまったわ。
もう、征ちゃんには敵わないわね。なんでもお見通しなんだから。
アタシは征ちゃんに
「そう?でも、心配事があるのは事実だけれど」
と笑ってみる。
ちゃんと笑えているのかしら?なんて思っていると
「レオ姉、オレと組もうぜ!」と小太郎の声。
アタシは征ちゃんに
「じゃあ、練習に戻るわね」そう言ってコートに戻ったわ。
練習中、優奈はタイムウォッチを見たり、ノートを書いたり、みんなのタオルを用意したり・・・忙しそうに動いている。
でも、朝よりも顔色もいいみたいだし安心したわ。
そんな風に思っていると、優奈と目が合ったの。
『玲央、ガンバレ!』
なによ、それ。
声には出さないけれど、口の動きですぐにわかったわ。
しかもそんな笑顔で・・・反則よ・・・。
だけどね、すごく嬉しかったの。
その言葉もその笑顔もアタシだけの為に向けてくれたのだから。
そのおかげかしらね。今日は3Pを1本も外さなかったわ。
練習が終わり、シャワーを浴びていると隣から「玲央、今日はまっすぐ帰るのかい?」と征ちゃんの声。
「どうしたの?何か用事?」とアタシが聞き返すと、「いや、別になんでもないよ。」と言う。
「そうね、でも今日は大切な用事があるから、先に帰らせてもらうわね」
そう伝えると、征ちゃんは少し間をおいてこう言ったわ。
「玲央、キミはこのままでいいのかい?今のポジションで満足しているのかい?」
ポジション?バスケの?
でも、少し考えたら征ちゃんの言いたいことがわかっちゃったのよね。
アタシは征ちゃんに
「そうね、満足はしていないわ」と伝えたの。
すると、征ちゃんったら
「玲央なら大丈夫だ。自信を持て。良い報告を待っているよ」ですって。
「ええ、いい報告ができるように努力するわ。じゃ、お先に」
そう言って、アタシはシャワー室を後にした。