Love Story~たくさんの 恋物語~【黒子のバスケ】
第4章 大好きな人 【~another side~】
俺と優奈は、しばらくの間何も言わずに見つめ合っていた。
抱きしめたくなる衝動にかられたその時、体育館から俺を呼ぶ声が聞こえた。
ホッとしたのと、もう少し一緒にいたかったという残念な気持ちの中、俺は優奈の頭をくしゃっとして体育館に戻った。
今の俺、顔真っ赤だろ・・・
ふう・・・
深呼吸をしてみんなの所に戻る。
すると黄瀬が
「青峰っち!あの子と知り合いっスか?」
と食い気味に聞いてくる。
その上、赤司までが
「彼女は、生徒会の副会長で櫻井さんといったかな?」
と俺に聞いてくるから、どうしていいかわからなくなる。
「い、いいだろ、別に。さっ、練習練習」
これ以上突っ込まれたくない俺は、話を切り上げコートに入る。
「青峰っち~」
黄瀬、うるせぇ。
ボールを黄瀬にぶつけてやった。
「痛いっス~」
と黄瀬は涙目になってやがる。
そんなやりとりを、赤司を含むキセキのメンバーはどんな風に見ていたのだろうか。
テンパっていた俺に、そんなことを考えている余裕なんてなかった。
それから優奈はしばらく練習を見ていた。
何度か視線が合った・・・ような気がする。
俺はいつも以上に気合を入れて練習に励んだ。
「今日の青峰はどうしたのだよ」
「ん~、たぶんあの子が見ているからじゃないのかな~」
と、紫原が体育館の入り口を指す。
たぶん、優奈の事を言っているのだろう。
優奈はかわいい。
だから、周りのヤツが放っておかないのはよくわかる。
このまま見ていて欲しい気持ちと、優奈を見せたくない気持ちが入り混じる。
そんなことを考えていると、優奈がいなくなっていた。
帰ったのか?
なんだよ、待っていてくれればよかったのによ・・・・
って、俺は何を考えてんだ。
まだ、一緒に帰るとかそんなんじゃないだろう。
「一緒にいたかったんだよ・・・」
俺はそう呟いて、コートを後にしたのだった。