Love Story~たくさんの 恋物語~【黒子のバスケ】
第2章 ムーンライトストーリー【赤司 征十郎】
教室に戻ると、すぐにHRが始まった。
担任が
「今日から、このクラスに転校生が来ますので、みなさん仲良くしてください」と話した。
クラスからは
「この時期に珍しくない?」
「どんな子かな?」
などと声が上がっている。
確かに、2学期に転校生などとはあまり聞いたことがない。
しかし、今の僕にとってさほど関係のない事だと思っていた。
そう、彼女の姿を見るまでは。
教室に入ってきたのは、綺麗な髪が印象的な女の子だった。
周りが「帰国子女なんだ」「かわいい」とざわざわしていたが、僕は気にする事なくみんなの前に立つ彼女に目を向けた。
「櫻井 優奈 と言います」
彼女はそう挨拶して下げていた頭を上げた。
「櫻井・・・優奈・・・」
僕は、自分の鼓動が早くなっていることに気づく。
まさか、彼女がここにいるわけがない。
同姓同名なんて、よくある事だ。
でもそれは、すぐに訂正された。
僕達の前に立っていたのは、間違いなく彼女だった。
今朝、生徒会室の窓から見たあの彼女が、ずっと僕の心から消えることがなかった優奈だったとは・・・。
『運命の再会』
僕の中にこの言葉が浮かんだ。
普段なら絶対に浮かぶ事のない言葉だ。
彼女から目を離すことができないでいると、彼女がこちらに向かって歩いてきた。
僕の隣の席らしい。
彼女は・・・優奈は、僕に気づいてくれるだろうか。覚えていてくれてるのだろうか。
不安と期待が交差する中、彼女が近づいてきた。
席に着き、隣の席の僕を見て彼女は動きを止めてしまった。
「征く・・・ん」
優奈はとても驚いた顔をしていた。
「優奈、久しぶりだね」
僕は嬉しい気持ちを隠し、彼女にそう挨拶をした。
しかし、心の中はドキドキでいっぱいだった。