Love Story~たくさんの 恋物語~【黒子のバスケ】
第2章 ムーンライトストーリー【赤司 征十郎】
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「ん・・・朝か・・・」
目を開けると、カーテンの隙間から明るい光が漏れていた。
僕は、ぼんやりとした頭で、久しぶりに見た夢の事を思い出す。
「優奈・・・」
そう呟いてみるが、そこに彼女がいるわけもなく、僕の声は部屋の中へと消えていった。
今日から2学期が始まる。
生徒会をやっている僕は、始業式に行う学園祭の説明の準備をするため、早めに学校に行くことにしていた。
寮からさほどかからない距離ではあるが、時間がギリギリになるのは好きではない。
僕はベッドから出ると、手早く準備をして出かけた。
「征くん」
あんな夢を見たからだろうか。
優奈の呼ぶ声が聞こえた気がした。
「かなり重症だな・・・」
そう独り言を呟いて、僕は学校に向かった。
学校に着いて、生徒会室のドアを開けた。
まだ誰も来ていないようだ。
僕は、今日使う資料などをまとめるために窓側の席に座った。
ふと外を見ると、女の子が1人校舎を見上げていた。
4階からは、顔ははっきりとは見えない。
しばらくすると、彼女は校舎の中に入って行った。
いつもなら、さほど気にする事ではないのだが、なぜか今日はその彼女の姿が目に焼きついて離れなかった。
予鈴がなり、僕はまとめた資料を手に教室に戻った。
この後・・・
運命の再会が待っているとも知らずに。