第3章 いつかまた、きっと/坂田銀時
「あ~食った食った!ごちそーさん」
「いいえ。こちらこそ、あんなに美味しいものが食べることが出来たのは坂田様のおかげです。ありがとうございました」
「いやいや、俺は別に…」
焼き芋を食べた俺達は、次に喫茶店へ行き期間限定のパフェを食べた。
はパフェも初めて食べたらしく、人生の半分は損してると言えば、そうかも知れませんと笑った。
「ていうか、その "坂田様" ってのやめない?」
「え?」
「俺は呼び捨てなのになんかなー…」
「え…と、じゃあなんと呼べば…」
「んー?銀さんでいいよ、適当に」
「…銀さん」
「おう」
そう笑ってみせると、も笑った。
…やっぱ綺麗だな。
と、そんなことをフワフワと思っていると、何か気配を感じて腰の木刀を咄嗟に構えた。
その目の前には護衛だか侍だかよくわからない集団が数人俺達を囲っていた。
「…誰だアンタら」
「貴様こそ誰だ」
「俺は万事屋の銀ちゃんこと坂田銀時。で、そっちは?」
「…私共はそちらのお嬢様の護衛の者だ」
「は…」
左腕で咄嗟に引き寄せていたを見ると、肩を震わせ俯いていた。
…やっぱりか。
「ダメだねぇ、大事なお嬢様を見失っちゃぁ」
「お嬢様が脱走なさったのです」
「アンタらがぞろぞろ付いてくるからじゃねえの?」
「なんだと貴様!!」
やれやれ、暴力は勘弁だぜ。
を抱きかかえて俺は強行突破した。
ちょっとでいいから話す時間がほしい。
「…大丈夫か」
コクンと頷くだけで顔を一切見せない。
黙ってたことへの罪悪感なのか、それとも震えるほどの事情があるのか。その両方か。
「ゆっくりでいいや、話してくれるか?」
「…ごめんなさい。きっかけは些細なことなんです…」
ポツリポツリと彼女が話したのは、こうだ。
彼女の住む町は酷く荒れており、彼女はどうにかしたいと思った。
そこで他の栄えた町を探検したいと思い歌舞伎町を選んだのだが、親父がそれを許さなかったらしい。
それだけでなく、強制的に経済力のある町の息子と結婚させようとまでした。
彼女はそれが嫌で逃げ出した。
よくあると言えばよくある話かもしれないが、話しながら彼女の頬に流れたものを見るとどうも放っておくことが出来なくなった。