第3章 いつかまた、きっと/坂田銀時
食欲がうんと湧くこの季節。
あちこちから漂う香ばしい香り。ますます食欲が湧いて仕方がない。
しかしその食欲を満たすほどの金が俺には無い。
…ん?
「なにしてんの」
そんな俺に突然の出会い。店と店との間の細道で。
「あ、あなた万事屋の…」
「こーんな暗いとこでお嬢さんが1人でいたら危ないっすよー?」
そのお嬢さんはよく見れば結野アナ風の美人だ。
綺麗な赤色の着物に緩くまとめられた髪。
…しかしこの辺で見たことの無い顔だ。隣町の娘とかか?
「で、なにしてんの」
「私は…」
ぐぅぅうう~……
「「………」」
いやいや、このタイミングでこんなデカイ音鳴るか?普通。空気読めよ俺のお腹。
「ふっ」
「ん?」
「ふふふっ、はっ、ごめんなさ…ふふ…」
「なんだ、アンタ笑ったら更にベッピンさんじゃねぇの」
「えっ」
んー、結野アナより品のある感じがすんなー…。
「あ、あの、良ければ一緒にどこか美味しいもの食べに行きませんか?」
「え?」
「私、この町のことまだよく知らなくて…。それに、私もお腹が空きました!」
「ははっ、いいねぇ。でも俺金が無いんだよ~…。万事屋してても全然儲けなくて困っちゃいますよホント」
「私、お金ならありますよ」
「え?!いやいやっ、俺借金もまともに返さねえくそ野郎だからっ」
「ふふ、万事屋さんは面白いのね」
結局なんだかんだと丸めこまれて行くことになってしまった。
非常に有難いことだが、お互いに名前も知らないのにいいのかと。
「そういやお嬢さん名前は?ちなみに俺は坂田銀時ね」
「…坂田様。私はと申します」
「おお、かわいい名前」
「ありがとうございます」
ま、なんとかなるだろ。
それより飯を食わせてくれるとは。悪いな…神楽、新八。
「あ、焼き芋」
「焼き芋…」
「名物じゃないけど、秋の味覚だよな~」
「私食べてみたいです!」
「え?!ていうか食べたことねえの?!」
「あ…まあ…」
まるでどこぞのお嬢様みたいなことを言う。
まあそんなの、品の良さがそう思わせているんだろうが。
「ほい、半分」
「えっ」
「熱いから気をつけろよ~…あちっ」
「…ありがとうございます」
そんなの嬉しそうな横顔はとても綺麗だった。