第3章 いつかまた、きっと/坂田銀時
「おーい護衛さん」
「あっ、あんなとこに…!お嬢様を返せ!」
「返せぇ?てめぇらはお嬢様を何だと思ってんだ?」
「は?」
こんな奴ら、片腕で十分だ。
俺はを抱えたまま突っかかってくる護衛達の相手をする。
たかが護衛。真選組に比べりゃ楽なもんだ。
…比べるのもおかしいくらいだな。
「お嬢様ってのはなぁ!」
「ぐっ」
「いつでも新しいこと探してんだよ!」
「ゔっ」
「町のためにと一生懸命考えて!」
「がはっ」
「若えのに頑張ってんだよ!!」
「ぐはぁっ」
どうも俺は女の涙には弱いらしい。
「殿が怖くてお嬢様を監禁だァ?このクソへたれ野郎共が」
「銀さん…」
つい勢いでえらそうなことばかりツラツラと言い放ったわけだが、俺はお嬢様に飯を奢らせたわけで。
しかも親父との話し合いは一人で闘わなくちゃならないわけで。
「…なんかその…悪かったな…いろいろと」
「いいえ!とっってもスッキリしました!」
「…そりゃ良かった」
ニコリと笑う彼女はやっぱりとても綺麗で。
「次はちゃんと許可を貰って遊びに来ますので、その時はまた会ってくれますか?」
「ああ、もちろんだ」
「ありがとうございます。…今日のお代はその時にお友達の紹介ということで」
「そんなんでいいのかよ?」
「ええ、もちろん!」
「安上がりなお嬢さんだ」
「ふふ」
「…それじゃあ、またいつか」
「…ああ。また、いつか」
そう言って車に乗り、彼女は元の場所へ帰って行った。
今日は一段とよく動いた。よく喋ったし、よく食べたし。
…次って、いつだろうな。
「ただいまー」
「あー!銀ちゃん!なんか良い匂いするヨ!なに食ってきたアルか!一人だけ!」
「あー?100円の焼き芋だよ、焼き芋」
「おならしないでくださいね、臭いので」
「酷えなー、美味かったぞ?焼き芋」
「まあそれくらい僕達も実家で食べましたけどね」
「そうヨ!いっぱい食べたアル!」
「俺のは量以上に価値のあるでけー思いが詰まった焼き芋だもんねー」
「「…は?」」
たまには100円の焼き芋のたった半分を誰かと共有するのも悪くないと思った秋の日だった。
end.