第2章 この日この場所で/土方十四郎
「うわぁー、公共の場で真選組の副長が綺麗な姐さんを口説いてるぅー」
「きゃー怖いアルー、マヨネーズの臭いでやられるアルよー」
「…っ!うっせーなテメェら!さっきまで喧嘩してたんじゃねえのかよ!仲良しか!」
ようやく離れ、煙草臭いのもマヨネーズ臭いのも無くなったのに、土方の顔が未だに近くにあるようで顔が熱い。
「ん?どうしやした、姐さん。顔が赤いですぜ?」
「えっ」
「貴様!に何したアルか!」
「いや、俺はただ壁ドンを…」
「ハァ?!揚げ丼?!何言ってるアルかコイツ!」
「てめぇが何言ってんだよ?!壁ドンだっつの!」
ヤバイ。
こんなことで乱れているようじゃ、この先何があっても辛抱出来る気がしない。
こんなの、私じゃない。
いつもそうだ。
コイツには振り回されてめちゃくちゃにされて、そればっかりだ。
どうしてコイツじゃなきゃダメなのだろう。
「…ったく、帰るぞ総悟。そろそろ休憩終わりだ」
「ウース」
「あ、そうだ」
「なっ、なに」
「お前よくココ来んのか?」
「ま、まぁ…」
「毎日?」
「い、いや、毎日は…大体毎週水曜日は1人で…」
「1人ってお前…」
「うっ、うっせーな!なんだよ!」
なんでこんな事聞いてくるのだろう
とか、
なんでこのタイミングで名前呼ぶんだろう
とか、
ちょっと一言余計かな
とか、
そんな事はどうでもよくて。
「いや、毎日そんなでけぇパフェなんか食ってたら、どっかの銀髪みたいに糖尿病になり兼ねない上に太るぞーって言ってやろうかと」
「っ、余計なお世話だ!!」
だけど教えたんだから毎週水曜日は来てくれたらいいなぁなんて思ったりして。
「毎週水曜日…か…」
end.