第2章 この日この場所で/土方十四郎
「てか、なに普通にテーブル一緒してんの?ちゃっかり居座っちゃってんの?」
「丁度空いてたから?」
「空いてねえよ。目節穴かコラ」
せっかく神楽ちゃんと女子会をしていたというのに、コイツらが来たせいでもうめちゃくちゃだ。
…と言っても、追い出すことも出来ないのだけれど。
「そうアルよ!ワタシ達乙女の会にヤローが入ってくるとは何事アルか!」
「えー?乙女ってどこにいるんですかねぇ土方さん?」
「俺に振るな」
「テメェの横にいるだろーがよこのクソガキ!」
「綺麗なお姉さんなら1人いやすけどね…あとは胸糞悪い餓鬼が1匹」
「ああん?表出ろやコラァ!!」
そもそも沖田くんは神楽ちゃんの事が好きなのか?
そう見えるような見えないような。
兎にも角にも、これでは恋の相談も出来やしない。
「ところで女子会ってなんだ?またくだらねぇ話でもしてんのか」
「くだらなくねえよ!…ちょっと…恋バナ…とか…」
「はぁ?鯉バナナ?なんだそりゃ?」
「…耳かっぽじってやろうか?」
仮にコイツらが別のテーブルへ移ったとして、会話が聞かれないとは保証できない。
いっそ私達が出て行けばいいが、通路側にコイツらがいるせいで出る事も出来ない。
「んで?恋バナ?なに、壁ドンされてぇとか?」
「なんでそんな話に…」
ドンッ
「…なに、して…」
「…壁ドン…?どう」
「どう、じゃ、ねえ、…」
どうしてこうなった。
誰もされたいなんて言ってないしお願いもしてない。思ってもない。
なのになんでコイツはしたのか。
っていうか顔が近い。近い。
髪は煙草臭いしなんかマヨネーズの臭いもするし最悪なのに、目が離せない。