第2章 この日この場所で/土方十四郎
「毎日毎日…よく飽きねえな」
私の名は、。
この江戸では割と美人だと言われている。…はずだ。
「あ?あー、総悟か?なぁ、ほんと飽きねえよな。あんな娘と口喧嘩なんてまだまだ餓鬼だぜまったく…」
そこら辺の石ころみたいな男になら、何度も言い寄られたこともある。
全てお断りだが。
私が受け入れるのは男前だけさ。
つい口が悪くなるが、こんな私にも想い人くらいいる。
「てめぇのことだよ このクソマヨラー!よくそんな汚ねえもんみてえにグチャグチャ米にかけて食べて体壊さねえな!」
「いやあ、そんな褒めんなよ」
「褒めてねえよ!照れんな!」
それがコイツ、真選組の土方十四郎だ。
「…ったく、うるせえババアだなぁ」
「あぁ?ババア?てめぇと同じ歳だよ!ざけんな!」
「そうカッカすんなよ。同じ歳ってんなら、年相応の話し方しろよ。そんなんじゃ嫁の貰い手もいねえぞ?」
どうしてこんな奴が好きなのか、私にもわからない。
でも、嫌ならとっくに縁を切っている。
それでもこんな風に会って突っかかってしまうのだから理由は無くとも私は奴に惚れているということなのだろう。
「別に!貰ってほしいなんて思ってないし!」
「なに、"つんでれ" ってやつか?」
「違うわ!"ツンデレ" 辞書で引いてこい!」
やれやれ、困ったものだ。
私としたことがこんな奴に振り回されるなんて。