第8章 "お兄ちゃん"じゃなくって…
それから1週間が過ぎた。
先輩はもう普通の生活に戻っている。
あの日、先輩は
以前から処方してもらっている
睡眠薬を沢山飲み、
自殺を図った。
あともう少し遅かったら
危なかったみたいだ。
最近は睡眠薬を飲んでも
眠れない日々が続いていて、
そんな中で大学生活での
焦りや不安、
家族のこと…色んなことが重なり、
あのような悲劇を生んでしまった。
それから先輩のお母さんは
仕事を辞めた。
先輩と向き合おうと
努力を始めた。
色々とあったけれど、
いつでも新しいスタートは切れる。
ここからまた、
あの家族はスタートするんだ。
今は大学にも通い、
忙しい日々を送っている。
でも前とは違う。
それは誰がみてもわかる。
そして最近は私に
弱音も吐いてくれるようになった。
そういう時には
うんと話を聞いてあげるんだ。
少しでも先輩の支えになれれば…。