第1章 【三日月宗近】夜伽の枷外し
「こう、主と月を見るのも、悪くはないな」
胸が高鳴る。
「そ、そう...」
たじろぎ苦笑いして彼に体をあずける。
「俺が嫌か?」
囁くように耳元で言われ体が反応する。
はっと我に返ったように私は彼を抱き締めた。
「おっと...はっはっはっ...どうした?甘えたくなったか?」
そっと頭を撫でてくれる手は怯えて震えていて、その度に声を発していた。
「...ありがと...」
服がくしゃくしゃになりそうなくらい抱き締めて、頬を撫でてくれた手にキスして
見つめあった。
「..主。..俺は....」
人差し指を口に当て。指越しにキスをする。
悲しげな顔で首を横に振った。
その言葉を聞いたら絶対に破壊された時。貴方を求めてしまう。別の貴方は出てこないから。
..どうしても、そばにいてほしいから。
「っ...主.,.」
おおらかな体で私の小さい体を包む。
今日、あったはずなのに。
愛しいのはなんでだろう。
苦しいのは、なんでだろう。