第9章 終わりと本音
連れて来られたのは屋上だった
『屋上なんて連れてきてどうしたの?』
「…」
『…』
しばらくの沈黙の後
青蘭ちゃんが言った
「あのさ…太郎君には好きな人は居る?」
『えっ?まあ…居るけど…』
「そっか…居るの…か」
『でも、その願いは叶わないんだ…』
「えっ…そうなの?」
『うん…』
「そっか…あの…ね」
『うん…』
「私…太郎君の事…好きなの!!」
『えっ!?』
「それに、さっき一翔が言ってたのも本当なの…私、すごく心配だったの…もし、死んじゃったらどうしようって…でも、生きてて本当に良かった…」
青蘭ちゃん…俺の事こんなに思ってくれたんだ…
「太郎君は私の事…どう思う?別に正直に言っても良いからね!」
『俺は…』
「ちょっと待った!」
言おうとしたら声がした
「一翔!?」
「俺は、青蘭……お前の事が好きだ」
「えっ!?」
「お差馴染みでずっと前から好きだった……」
「一翔……」
「だから、太郎なんかには絶対渡さない……!」
『俺だって……青蘭ちゃんの事好きだよ?』
「!?」
『でも、俺には幸せにできない……』
「何だよ……逃げるのか?」
『違う、逃げてる訳では無い!俺は元々、別の次元の人だ俺なんかが奪ってしまえばこの物語はめちゃくちゃになる!だから、俺は……青蘭ちゃんを幸せにする事が出来ないんだ……』
そろそろ、終わりが近づいてるのは分かっていた
『だから、一翔!お前が青蘭ちゃんを幸せにしてやれ!だって、二人は小さな頃から一緒に居るし、俺よりも分かってやれる……それに……』
「それに?」
『もう、お前はあの逃げてた時とは違う』
「!?」
『守るという強さを知ったんだ』
「太郎……」
話してるうちに室腰先輩や篠原先輩や瑠亜君も来ていた
あー、何か眠くなってきた
もしかしたら、元の世界に戻ってしまうのだろうか……
『俺はそろそろ、元の世界に帰らないと行けないみたいだ……』
「そんな!!」
青蘭ちゃんは泣きそうだ
『俺の一番大好きなゲームcomputer gameにこれて本当に良かった……ありがとう……そしてサヨナラ……』
「太郎君!?嫌!行っちゃ嫌だ!」
「太郎!?」
皆の声が薄くなって来てる
あーこれでおしまいか、案外楽しかった……
こうして俺の意識は薄れた