第2章 プロローグ
皆の緊張感が最大になったその時、画面の中からギター音が鳴り響いた。
突然のことで私も3人も目が点。
しばらく状況が把握できなかった。
でも、よくよく見てみると、先程うずくまっていた女の子が、ピンクのギターを持って凛と立っている。
どうやら音の発信源はその子のようだ。
「あの子…何するつもりなんだろ」
私はポソリと呟いた。
その問には、誰も答えない。
もしかしたら…もしかしたらだけど…
あの子が、どうにか出来るかも…
そんな淡い期待を胸に抱く。
案の定、その子は物凄いテクニックでギターを弾き始め、『トラクロ』を救い出した。
ついでにダークモンスターも倒して。
「すっげぇじゃん!あいつ!!!!」
「まさか、リリと同じことできる子がいたなんてね」
「…ギターテクも…すごかったな」
「うん。とりあえず、全員無事で良かった…」
無事に闘いが終わり、ほっと息をつく。
スマホを握りしめていた手は汗ばんでいて、じっとりしている。
…あ、これハルテミスのだ。
今更のように、私は側にあるタオルでスマホと手を拭いてから、ハルテミスに手渡した。
「壊れてたらごめんね…ハルテミス」
「大丈夫だよwwそんな簡単に壊れないから」
ふにゃっとした笑顔でハルテミスは許してくれた。
ああ…癒しだわ。←