第3章 第2のトリップ少女
「社長、『ライアーループ』只今帰りましたー」
「おぉ!ちょうど良いところにですぞ!」
たまご(笑)みたいな有栖川メイプル社長は、いつも通りのテンションで私達を迎え入れる。
入った先には『プラズマジカ』とダークモンスターを撃破した、あの女の子。
「あーっ!!!!お前、ダークモンスターぶっ倒したやつだよな!?すげぇなあ!かっこよかったぜ!!」
「あ…ど、どうも…」
ニカッと笑いながら叫ぶスカルに、その子はぎこちない笑みを浮かべる。
どうやら、慣れない人と喋るのは苦手みたいだ。
「スカル、突然そんな大声出しちゃビックリするでしょ。私達は耐性付いてるから良いけどさあ」
「そうだよスカル。怯えきってるじゃないか、かわいそうに」
「…本物の馬鹿…だな」
「そ、そんな責めんじゃねぇよ!あー…その…悪かったな、驚かせちまって…」
スカルが珍しい事に大人しく頭を下げた。
どうやら、今回は自分に非があることを切実に認めているらしい。
そんな光景を見たその子は、焦りに焦って噛みまくりながらスカルを慰める。
「あ、そ、そのっ!き、気にしないでくにゃさいっ!!!!」
いや、くにゃさいって…
逆にそっち言う方が難しい気がするのは、私だけかな?
それと…レトリーが瞳を輝かせてその子を見てるのも、ちょっと放っておこう。
私は少し微笑みながらその子の肩に手を置く。
ビクッと肩を震わせて、その子は恐る恐る私を見上げた。
「ごめんね、うちのバカが迷惑かけて。私はリリ。『ライアーループ』のギターとボーカルをやってるの。んで、後ろのはメンバー」
「キーボードのハルテミスだよ。これからよろしくね」
「ベースのスカルだ。言っとくけど俺はバカじゃねぇからな!!」
「…バカだろ、スカル…。…ドラムのユクシィだ。よろしく…」