第2章 プロローグ
「…さってと。ひと段落ついたみてぇだし、俺らの本拠地に帰るか」
「…そうだな。今日のライブの報告を…社長にしなければ…」
「あ、じゃあ車取ってくるよ」
ハルテミスはそう言って外に出て行った。
2人もそれぞれ帰る準備をし始める。
私も、愛用のギターをケースに入れて支度を終えた。
「ねえ、2人とも。あの子…どう思う?」
手を動かし続ける2人。
表情は見えないが、ユクシィは静かな声で言った。
「…あいつのギターテクは…かなりのモノだ。だけど…リリ、お前と同じことを出来る…ということは…」
「あいつにも、なんか事情があんのかもなー」
ユクシィの言葉を遮るスカル。
恨みがましい目で睨むユクシィを余所に、スカルは続けた。
「だってそうだろ、リリ。お前が一番分かってんじゃねぇのか?」
「……まあ、ね」
多分、あの子も私と同じで…トリップして来たんだろう。
じゃなきゃ、あんなこと出来ないと思う。
議論(?)が終結したちょうどその時、ハルテミスが楽屋に戻ってきた。
「車移動してきたから荷物運んじゃっていいよ。準備できてる?」
「うん」
自分のギターとユクシィのドラムセットの一部を持って、車に乗り込んだ。
荷物を全て積み終わり、ハルテミスは車を発進させる。
私は背もたれに体を預け、軽い眠りについた。
ープロローグー END