第2章 プロローグ
ーリリsideー
ライブの後、楽屋にて。
「なあ、リリ。さっきはどうしたんだよ?急に黙ったりして」
汗をタオルで拭きながらスカルが尋ねてきた。
私は真剣な顔で黙り込む。
すると察したのか、今度はユクシィが尋ねてきた。
「もしかして…ダークモンスターか?」
「え…そうなの?リリ」
心配そうな顔でハルテミスが聞いてくる。
私は静かに頷いて、言葉を続けた。
「うん。微かにだけど、ダークモンスターの気配を感じたの。でもライブ中に抜ける訳にもいかないでしょ?」
「まあ、そりゃそうだな。しっかしよぉ、それも考えてライブの日程は抑えめにしてあんのに、今日もかぶったか」
チッとスカルは舌打ちをする。
ユクシィとハルテミスも、浮かない表情だ。
確かに、この頃ダークモンスターが現れるのが頻繁すぎる。
私がこっちに来た当初に比べて、かなり頻度が高くなってきている。
さすがに可笑しいよね、これは…
社長に少し相談してみるか…
そんなことを考えていると、ハルテミスがねぇ、と肩を叩いてきた。
「これじゃないかな?その、リリが気配を感じ取ったやつって。これライブ中継なんだけど…」
スマホを差し伸べられ、それを手に取る。
私の周りには3人が集まってきて、ちょっと暑苦しい。
でも、そんなの我慢!
改めてスマホに視線を移す。
「……あ、多分これだ」
スマホに映し出されているのは、巨大なダークモンスターと今人気のバンド『トライクロニカ』。
どうやら、今回のターゲットは『トラクロ』らしい。
「…今から行っても…間に合うか?」
「無理。着く前に餌食になるか、倒すかどっちかだよ」
「そうだよねぇ…って、えっ!?!?」
ハルテミスが珍しく大声を上げた。
本当に珍しいことなので、私達は思わずびっくりして肩を窄ませる。
「な、何、ハルテミス。急に大声出して…」
「そうだぞ!お前が叫ぶなんてよっぽどの………あーーー!!!!」
耳をつんざくような叫びをあげるスカル。
思わず頭を叩いてしまった。