第10章 H27.5.4. 桃井さつき
「ジェットコースター楽しかった~!」
いろんなアトラクションを楽しみ、気づけばもう空はオレンジ色に染まっていた。
「時間が経つの早いね…」
「今日が充実していた証拠ですね」
「うん。これも全部、テツ君やみんなのおかげだよ」
夕日が綺麗だ。
こうして見ていると、みんなで歩いた道を思い出す。
あの頃はみんな、いつも笑顔でいっぱいだった。
時には喧嘩をすることもあったけれど、素直になれていたあの頃。
もう戻ることは出来ないけど、
「みんな、楽しそうだったね」
「はい」
今もあの頃に負けないほど良い笑顔だ。
そしてそれは、これからもずっと。
「二人とも!なにしんみりしちゃってるんスか!」
「過去形にすんのはえーよ」
「黒子、発案者のくせして忘れているとはどういうことなのだよ」
「別に忘れていたわけじゃありません」
「まーいいからさぁ、早く行こーよ」
こうして冗談を言って笑い合う。
ただそれだけのことがこんなにも幸せで。
私はこの景色を、ポケットから取り出した携帯で写真に収めた。
「桃井、最後のお楽しみだ」
そう言って連れて来られたのは観覧車。
「わ、おっきー…」
さすがに7人では乗られないため、4人と3人で別れることになった。
じゃんけんで決めた結果、
大ちゃん、きーちゃん、ミドリン、ムッ君の4人と、私、テツ君、赤司君の3人になった。
「何スかこの異色メンツ」
「何が悲しくてこんな大男4人で乗らなきゃなんねんだよ」
「じゃんけんで決まったのだから仕方ないだろう」
「…納得がいかないのだよ」
「まーいいじゃんー。すぐだよ、こんなの」
「はぁ…じゃー終わったら下に集合な」
「わかりました」
「後でね」
何で大人数用のゴンドラってないんだろう。
なんて、どうしようもないことを考えた。
だけど私としては、ゆっくりと景色が楽しめそうなこのメンバーで良かったとコッソリ思っていた。
「そういえば二人とも、高い所大丈夫なの?」
「問題ないよ」
「ボクも大丈夫です」
「良かった」