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Birthday Novel

第10章 H27.5.4. 桃井さつき



ゆっくりと上がっていくゴンドラ。
アトラクション、人、建物、全てがどんどん小さくなっていく。
そしてどんどんよく見えてくる夕日。



「…綺麗だね」
「はい…とても」



高い所で見る夕日。
それは私達にとってとても思い出深いあの日…帝光祭を思い出す。
放課後、テツ君が教えてくれた特等席の屋上で、焼きそばをみんなで食べながら見た夕焼け。
その時の景色を今でもよく覚えてる。



「観覧車なんて何年振りだろう…。中々良いものだな、特に夕方は」
「はい、心が癒されていくようです」



そんな二人の会話を聞いて、ふとある案を思いついた。



「ねぇ!これから毎年、こうしてみんなで遊園地に来ようよ!それが無理なら、どこかの丘に集合しよう!」
「丘…ですか?」
「そこで夕日をみんなで見るの!」
「ああ、良い案だな」
「じゃあ決まりっ!」



はしゃぐ私に、それを優しい瞳で見つめるテツ君と赤司君。
なんだかきーちゃんみたいに一緒にはしゃいでくれる人がいないと、くすぐったいな。
とは言いつつも、こんな気持ちも心地良く感じる。



「…あの人達は何をしているんでしょうか」
「え?」



どんなバカなことも、どんな楽しいことも、



「自由な紫原と青峰に呆れる緑間、注意するが聞かない2人に手を焼く黄瀬…といった感じかな?」
「向こうは大変そうですね」



これからもこうして時々、みんなで集まって、



「こちらは平和で良かったです」
「ああ、おかげでゆっくり夕焼けを楽しめたよ」
「そうですね」



少しでも多く同じ時間を共有できたらいいな。



「あ、もう少しで終わりですね」
「早かったな」
「はい。…桃井さん、足元気をつけてくださいね」
「ありがとう、テツ君」

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