第10章 H27.5.4. 桃井さつき
「桃井さん、お誕生日おめでとうございます」
そう言ってテツ君の手から差し出された物は、可愛い紙袋。
よく見ると、それは最近流行っている雑貨屋さんの袋だった。
「テツ君…」
「少し遅くなってしまいましたが…」
「ううん!すっごく嬉しい!開けていい?」
「はい」
可愛くラッピングされた包装紙を丁寧に開けていく。
中から出てきたのは、キラキラと光る水色のネックレス。
「こ、これ…」
「桃井さん、これ欲しかったんですよね。…ちょっとズルなんですけど、青峰君に聞きました」
「そ、そうだったんだぁ…」
以前、大ちゃんと買い物に行った時にこのネックレスが気になると確かに言った。
だけど、まさかそれをテツ君がくれるなんて思いもしなかった。
「ありがとう。すっごく、すっごく嬉しい!大事にするね!」
「はい」
「早速着けちゃおっかなぁ」
テツ君からのプレゼント。
私は嬉しすぎてすぐに着け始めた…けど。
興奮しているのか、上手く着けられない。
「桃井さん、貸してください」
アタフタしていると、いつの間にかテツ君は私の後ろにいて、ネックレスを着けてくれた。
「あ、あああありがとう…」
「はい、どういたしまして」
今日はなんて幸せな日なんだろう。
「そうそう、あの時大ちゃんが急に巻き込んだんだよね」
「ヒーローって、何のことかと思いました」
あれから私達は中学時代の話をしていた。
帝光祭、夏祭り、放課後のゲームセンター…。
思えばいろんなことがあった。
「またストバス以外でも集まって、遊びに行きたいね」
「そうですね…遊園地とかどうでしょうか」
「楽しそう!わ~今から楽しみになってきちゃった!」
元々仲は良かったし、赤司君も元に戻ったからまた仲良くなれると信じてた。
実際ウィンターカップ後はストバスもしたし、みんな笑ってた。
それが本当に楽しかった。